ブログ
保定について
こうざき歯列矯正クリニック 院長の神崎です。
矯正治療の本当の目的は、「機能的かつ審美的咬合を確立し、その咬合が長期に渡り安定した状態を維持する」ことです。
簡単に言うと、、、
美しい歯並びで、正しい噛み合わせを、長年キープし続けること。
そして「矯正して良かった」「一生歯を大切にしよう」と、何度も感じて頂くことです。
しかし、矯正力によって移動した歯は元に戻ろうとする傾向があり、この現象を後戻り(リラップス)といいます。
また、歯も体の一部なので、変化しなくなる日は来ません。
子供が大人になり、そして年齢を重ねていく様に、一生変化します。
世界中すべての国で、矯正治療後は「保定」を行います。
保(たもつ)+定(さだめる)と書いて(ホテイ)と読みます。
保定には、リテーナーという保定を行う装置を使います。
【保定が必要な3つの理由】
せっかく並んだ歯が、新たにズレてこない様に「変化を抑制」する必要があります。
①歯肉・歯周組織は矯正力による歯の移動の影響を受けており、これらの組織の再構築に時間が必要
歯を動かす方向に力をかけると、先に歯が動きますが、歯茎や歯を支える骨は少し後になって新しく作り変わります。
歯茎や歯を支える骨が作り変わる前は、歯も驚くほどグラグラです。
半年から一年くらいで、歯のグラグラは落ち着いてきます。
②歯は治療終了後、軟組織によって加えられる圧力が、絶えず再発をもたらす要因として作用する
そもそも、矯正治療を始める前の歯は、正しい位置にはありません。
歯が正しい位置に生えない理由の多くは、周囲の筋肉や骨格に原因があります。
歯は、唇や頬の筋肉から受ける力によって、位置が変わってしまう事があります。
③成長発育に関連する変化が、治療終了後の咬合の変化をもたらす可能性がある
子供の方が体が柔軟なため、歯も動きやすいのが現実です。
しかしながら、子供は成長により、良くも悪くも変わってしまいます。
そのため、顔の成長や親知らずが生える事で、上下の噛み合わせが変わってしまう事があります。
【リテーナーの種類について】
1)可撤式床型保定装置(ベッグタイプリテーナー、ホーレータイプリテーナー)
ワイヤーにプラスチックの床がついた最も一般的なリテーナーです。
この装置は患者様ご自身で着脱可能です。
上下の歯の噛み合うあう面を覆わないため、患者様の持つ咬合や筋肉に対して自然な環境が得られます。
ただし、前歯の部分にワイヤーが通るので、ワイヤーが見えてしまうのが難点です。
お手入れは、水洗いや専用の洗浄剤、部分入れ歯用洗浄剤で洗う、頑固な汚れは歯ブラシでこすり洗いを推奨しています。
ただし、歯ブラシで磨く場合は、歯磨き粉を使うと研磨剤によって装置表面に傷が付き、そこに細菌が繁殖してしまうので、水洗でこすり洗いしてください。
2)可撤式樹脂保定装置(クリア・リテーナー)
患者様ご自身で着脱可能な透明な装置です。
透明な素材なので目立ちにくく、審美的に優れています。
ただし、常に咬合面を覆っているため、患者様の咬合力を保定に関与させることができません。
クリアリテーナーの場合も、マウスピース矯正装置と同じように1日1回取り外して洗浄するのが基本です。
こちらも、水や専用の洗浄剤、総入れ歯用の洗浄剤で洗い、気になる汚れは歯ブラシでこすり、水で洗い流してください。
3)固定型保定装置(フィックス・リテーナー)
前歯の裏に固定する細いワイヤー装置です。
特に下の前歯は後戻りが生じやすいため、この装置による保定が有効です。
このタイプのリテーナーはご自分で外すことはできません。
固定式のリテーナーは、接着剤が歯と歯肉ギリギリ部分まで付けられていることがあるので、丁寧に時間をかけて磨かないと虫歯や歯周病のリスクが上がります。
ブラッシング方法は様々ですが、ワンタフトブラシや歯間ブラシを用いて歯磨きを徹底してください。
またそれだけでなく、定期的な歯科医院でのクリーニングや、歯と歯肉の間に歯石や磨き残しがないようメンテナンスが必須です。
固定型保定装置(フィックス・リテーナー)は、外れた場合に患者様ご自身が気づきにくいという問題点もあります。
4)自然保定
リテーナーではありませんが、治療終了後に得た新しい咬合状態を自然の力で保持することを自然保定といいます。
しかし、治療終了後ただちに自然保定に入ることは極めて稀で、基本的には1~3のようなリテーナーを使用したのち、自然保定に移行します。
5)永久保定
更に永久保定といったものもあります。
長期にわたってリテーナーを使用しても後戻りが心配されるようなときに行われます。
例えば矯正治療後にブリッジという繋がった人工の歯を被せる場合は、ブリッジによって固定されるので、ブリッジが壊れるまで固定されます。
【通院の完了とは】
歯並びと噛み合わせが正しい状態で、ご本人がもう治したいところが無くなった状態になった時点で、歯を動かす治療は終了します。
歯を動かす必要がなくなった後、保定を始めます。
この保定には終わりがありません。
一般的に保定を2年以上行なった時点で、その後の通院について検討しますが、これには特に決まりはありません。
それは、不正咬合の原因や種類、不正の程度、治療期間、治療方法、治療終了時の咬み合せの状態などに加えて、咬み合せが変化する可能性にはに個人差があるためです。
保定期間に関する考えも、
・動的処置終了後6~12ヶ月は飲食時以外はリテーナーを使用し、12ヶ月経過した後も睡眠時に使用する
・治療期間の約半分の期間リテーナーを使用する
・治療期間と同じ期間だけ保定を行う
・2年経過すれば安定したとみなしてリテーナーを終了する
・リテーナーが壊れても作り直して、2年以降もリテーナーを使用する
など様々です。
リテーナーを使う目的は、歯列の変化を抑制するためです。
つまり、変化が無くなる日は来ないので、変化を抑制するリテーナーの期間は決まっていません。
「一生歯を大切にしよう」と思う人は、虫歯や歯周病、歯並びや噛み合わせの変化に対して、定期検診を行う事が好ましいです。
【不正咬合の再発】
矯正治療によって得られた正常な歯列、上下顎のかみあわせなどが治療前の方向に後戻りする現象を再発といいます。
再発の原因は以下のような点があげられます。
①リテーナーをあまり使用しない
②保定期間が不十分
③舌の癖や筋肉のバランスによるもの
④咬み合わせのバランスによるもの
矯正治療後に再発が起こった場合、可撤式リテーナーで若干の修正をすることができます。
しかし、これには限界があり、再発がかなり目立つようであれば、再び矯正治療を行うことも考えなければなりません。
矯正治療が終わって数年経過すれば後戻りのリスクは減ってきますが、生きている限り加齢変化で歯が少しずつ動く可能性はあります。
また、リテーナーも劣化してしまうため、必要に応じて作り直しを行います。
矯正治療自体は、健康であれば一生のうち何回でも行うことができます。
それには、時間と努力とお金が必要なので、不正咬合が再発しないためリテーナーを続ける方が使うエネルギーは少なくて済みます。
せっかく時間をかけて頑張って矯正治療をして綺麗にした歯並びが後戻りしてしまったら残念ですよね。
リテーナーを全く使わなくなると、歯並びは100%崩れてしまうことを認識してください。リテーナーは、歯のパジャマです。
毎日使う習慣をつけましょう。
綺麗なお肌を維持するために毎日化粧水や美容液を使うように、綺麗な歯並びを維持するためにリテーナー使う努力が必要です。
まずはリテーナーをしっかり使用して、綺麗な歯並びを維持するよう心がけましょう!
治療費 | *矯正歯科治療は公的健康保険の適用外の自費診療(自由診療)となります。 |
---|---|
主なリスク・副作用 | 主なリスク・副作用 痛み・治療後の後戻り・歯根吸収・歯髄壊死・歯肉退縮 その他のリスク・副作用等 矯正治療と併用する治療方法に関して 1.不正咬合の改善や将来的に起こりうる口腔内の変化を減少させる等の理由で、歯の抜歯や粘膜、骨格に対する口腔外科手術が必要となる場合があります。 2.矯正治療の過程において、歯の移動効果の容易化や歯の連続性の維持、その他の治療効果の発揮のため、一定期間に全部又は一部の歯に矯正治療用アタッチメントを接着する必要がある場合があります。 3.矯正治療の過程において、歯の移動のための空隙創出のため、歯の抜歯や切削が必要となる場合があります。 4.矯正治療において、歯の形態修正が必要となる場合があります。 5.歯の移動により咬合の変化が生じ、顎の関節に対する保護や治療が必要となる場合があります。 6.治療計画の変更や中断を抑制するために、矯正治療前にう蝕や歯周病に対する治療が必要となる場合があります。 7.上記の治療を行うため、治療計画の延期や休止、中断が必要となる場合があります。 矯正装置装着一般の副効果に関して 1.矯正装置の装着後及び着脱動作中、歯肉、舌、頬及び唇に、擦り傷又は痛みが生じる場合があります。 2.矯正治療開始直後及び途中に歯の圧痛を経験する場合があります。 3.矯正装置の装着が、一定期間、患者様の発語および発音に影響を与える場合があります。 4.矯正装置の使用により、一定期間、唾液分泌の増加若しくは口の渇きを経験する場合があります。 5.治療過程において噛み合わせが変化し、患者様によっては一定期間、不快感を感じる場合があります。 6.矯正装置の使用により、頭頸部の関節及び筋肉、耳それぞれにおいて障害(運動、感覚、疼痛)が生じる場合があります。 7.治療中、歯根長の短縮が生じる可能性があります。 8.治療中、歯の変色及び着色が生じる可能性があります。 9.矯正装置の装着が、歯、歯槽骨又は歯肉及び歯髄の健康状態に影響を与える場合があります。 10.矯正装置を使用した治療完了後、歯の位置が移動する場合があります。 11.治療期間中は、虫歯や歯周病への対策を積極的に行う必要があります。 12.治療開始後にいかなる理由があった場合でも、治療前の歯列や噛み合わせに戻すことはできません。 患者の素因又は治療歴に由来する事柄に関して 1.特殊な形状の歯が存在する場合、無意識での歯ぎしりやスポーツ等での食いしばりがある場合、治療期間の長期化又は治療結果に悪影響を与える場合があります。 2.重度の不正咬合および歯列不正がある場合、無意識での歯ぎしりやスポーツ等での食いしばりがある場合、矯正装置等の破損の可能性が高くなります。 3.複雑な咬合や歯列、およびそれらを含む骨格性の不正咬合の治療は、複数の治療法や矯正装置の付属品を併用する場合があります。 4.患者様について重度の歯列不正がある場合、矯正装置の着脱が著しく困難となる場合があります。 5.過去の歯の疾患の治療により治療を受けた歯に関しては、再治療や追加治療、対象部位の周辺を含む範囲への歯科治療が必要となる可能性があります。 7.歯冠が短い場合は、歯の移動に制約が出ることがあり、歯肉への治療が必要となる場合があります。 8.歯肉の状況によっては歯肉の位置が変わる事があり、それが事前に予測できない場合があります。 9.患者様の既存の補綴修復につき、再接合又は交換が必要となる事態が生じる場合があります。 10.アレルギー症状が生じる場合があります。 11.上記のほか、患者本人のスポーツや生活態度、健康状態や医薬品の服用、喫煙や飲酒等の嗜好品が治療効果に影響を与える場合があります。 矯正治療計画および装置装着・使用方法に関して 1.患者本人や家族が、治療計画に関して歯科医師およびその他の職員の指示に従わない場合、指示された矯正装置の使用方法に指示に従わない場合、治療期間の著しい長期化又は治療結果に悪影響を与える場合があります。 2.装着する矯正装置等を、患者様が誤飲又は吸引してしまう可能性があります。 3.矯正治療において、歯の移動速度および移動範囲に限界があり、事前に予測が困難な場合があります。 4.適正な着脱方法を行わなかった場合、矯正装置が破損変形し再製作が必要となる場合があります。 5.患者本人が、計画的に通院しない場合や計画外の事態が生じた連絡を怠った場合、治療期間の著しい長期化または治療結果に悪影響を与える場合があります。 矯正治療計画の立案および矯正装置の製造に関して 当院における矯正治療は、検査結果から得られた内容を歯科医学的根拠に基づき立案し、歯の移動計画から適切に選択した矯正装置を用いて行います。使用する矯正装置は、主治医が効果や安全性などについての歯科医学的判断を行い、医院内外で作製された矯正治療器具を治療に使用します。患者本人に使用する機材のほとんどは、日本国内の法律で承認・認証を受けた機材を使用しますが、一部の歯科用機材に関しては海外にて製造および加工されたものも含めて使用し、医薬品副作用被害救済制度の対象にはならず、歯科医師が責任を負い救済を行うものとします。 |
-
〒224-0003
横浜市都筑区中川中央1-29-2 グランドメゾン・センター北 2F
(センター北駅 出口2より 徒歩1分)
平日 10:30~12:00/15:00~19:00
土日 10:00~13:00/14:30~18:00
休診日:木曜・祝日・日曜(特別診療日あり)・月曜(不定休)